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相場の神様と呼ばれた男

 相場の神様に相応しい男は外国に存在したのではなく、
日本に存在したという事実。その事実をしかと見届けてください。


 1725年に生まれる。
名は本間宗久(ほんま そうきゅう)と言います。
若干23歳にして酒田の豪農の本間家当主に能力を見出され、
養子となります。彼は若くして優れた投機センスを発揮し、
本間家の資産を数倍にしてしまいました。

 順調に見える彼の人生に最大の苦難が訪れます。
本間光丘(ほんま みつおか)が修行から帰ってきたのです。
正統な本間家当主となる存在の帰還でした。
当主亡き後、光丘が本間家を継ぎます。

「叔父上、あなたをこの家から追放します。」
「どいういうことだ!みつおか。私がこの家の資産を何倍にもしたのだぞ!」
「叔父上のやり方は危なすぎるんですよ。」
「待て、待つんだ。みつおか」


 宗久は過激な投機を行うのに対し、光丘は堅実な経営を行うとしていたのです。
宗久追放は経営方針の対立がゆえに、いが仕方ないことでした。

「叔父上は天才だ。しかし、投機を家の生業とすれば、
叔父上亡き後、確実にこの家は滅びる。」

 光丘は宗久追放後、家のルールに新しいものを加えました。
投機はしてはならないというものです。
光丘は宗久のすごさを理解していました。
そしてその脆さも。


「あれだけ兄様、兄様と言って
慕ってくれていたというのに
どうしてなんだ、みつおか」

 追放された宗久は途方にくれました。
悩みに悩みこれからのことを考え続けました。
そして彼は気付いたのです。

「私には相場しかなかった・・・・」

 それからすぐに大阪に相場の大勝負を挑みに行きます。
必ずうまくいくと信じて。


 大阪についた彼は驚きます。
あまりにも高度な取引システムが存在していたからです。
デリバティブが当たり前のようにあったりしました。
世界でも先駆けてこれだけ発達した相場の取引システムが
あった国は日本以外に存在しません。

 そんな相場世界で彼は真剣勝負を挑みました。
結果はあえなく敗退。あれだけ本間家にいたときは
稼げたというのにどういうことなのでしょうか。

 実は彼が勝てたのは本間家の莫大な資産が
バックに存在していたからだったのです。
その余裕が彼を勝利へと導いていました。
結局、彼が相場世界に乗り込んだとしても、もうバックは
存在しないのだから勝てるわけがなかったのです。

しかし、それでも光丘は宗久が天才であると信じていました。


 気が付いたら才気に溢れていた宗久は負け続け、
とうとう寺に篭ってしまいます。


「なぜ・・・」

 延々と自問自答の日々を繰り返します。
憂鬱な日々を送る宗久は気分転換のために散歩に出ます。
すると目の前で二人の城兵が言い争っているではありませんか。

「あの旗はな、旗そのものが動いてるんだ」
「いやいや、風で動いてるんだろ」

どうやら旗が一体なぜ動くのかということで
争っているみたいです。

そこに一人の僧侶が現れ、叫びました。

「旗が動いているのでもなく、
風で動いているのでもない。
旗を見ているお前達の心が動いているのだ!」


「かはっ」
それを見ていた宗久は破顔します。
と同時に相場の真髄を悟ったといわれています。

その真髄とは?

旗とは価格そのもの。
風とは需要と供給。
しかし、旗が動く理由はこのどれでもなく、
「旗を見ているお前達の心が動いているのだ」と僧侶は言いました。

 つまり宗久は相場の価格を動かしているのは
価格を見ている投資家たちの「心」だというのです。
かなりすごい悟りですね。



 それから宗久は試行錯誤を重ね、実力を着々と上げていきました。
初期の頃の宗久とは桁が違うほど投機センスは研ぎ澄まされ、
大阪や江戸の米相場を荒らしまくりました。
まるで勝つのが当然であるかのようでした。

 ローソク足の考案したのも本間宗久であると言われています。
もはや江戸の米商売をしている人間達は
宗久の存在を畏れ敬い、「出羽の天狗」とも
「相場の神様」とも呼ぶようになりました。


 その後、光丘はどうなったのでしょうか。
もちろん、光丘も宗久に劣らぬほど優れた才能を
持っており、圧倒的な経営センスは更に本間家の
富を巨大なものとしました。

 そんな光丘の能力に目をつけた
庄内藩主は藩の財政再建の全権を任せます。
光丘はものの見事に藩再建を成し遂げました。

ますます、本間家の名声は天まで昇り、栄華を極めるのでした。
そんな本間家の当時のすごさを物語っている唄があります。

「本間さまには及びもないが、せめてなりたや殿様に」

本間家が殿様の富を遥かに凌ぐことを示しています。



結局、光丘は正しかった。




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